発達論を学ぶ

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10月21日(月)は法人職員研修を行いました。法人全体での研修ですので、就学前の療育スタッフも放課後支援スタッフもいっしょに学びます。

かねてから法人代表自身が「子どもの支援者は発達論についてもっと深く学ぶべき」「しかし、福祉の中では良い研修機会がない」という問題意識をもっており、今回は発達をとらえるための包括的な枠組みを与えてくれるような研修を企画しました。

講師は西山剛司先生(臨床発達心理士SV、学校心理士SV)です。現在はフリーランスでお仕事をされていますが、以前は地元の南山城支援学校に勤めておられ、精華町の子どもについていろいろ教えていただいていました。

西山先生は子どもの発達について広く深い知識をおもちで、近年は「SCERTSモデル」の普及に尽力されておられます。SCERTSは子どもの発達を環境との交互作用の中で包括的にとらえるもので、私たちの学びたいことと合致します。

講義のタイトルは「発達とは何か、発達支援とは何か」。人間の発達の特長を進化的起源までさかのぼるところからはじまり、環境との間でお互いに影響を及ぼし合いながら発達は変化していくと考える「発達の交流型モデル」を中心に据えて進みました。

SCERTSは「社会コミュニケーション(Social Communication)」「情動調整(Emotional Regulation)」「交流型支援(Transactional Support)」の頭文字をとったものです。言語も社会性も情動のコントロールも他者からの適切な関わりによって学ばれていきます。子どもがひとりで勝手に発達していくわけではないのです。

当たり前のことを言っているように思われるでしょうか。けれども「〇か月になったら□□ができるようになる」というように「発達の時期の目安」が説明されたり、子どもに「発達障害」があると言われたりすると、何らかの「基準」から外れた「この子」にばかり焦点があたりがちです。

「人はどのようにして発達していくのか」を原理的に理解できると「家族や支援者にできること」の幅がぐっと広がります。子どもに対して「こんな教材や課題をさせるとよい」とか「部屋や教室はこんなふうに整えるとよい」とか(だけ)ではなく、「人がどう関わるとよいのか」を問いなおせるのです。

SCERTSは、子どもの発達と環境を評価する枠組みを与えてくれますが、そこから先の介入は特定の技法にこだわりません。講義の中で紹介された実践でも「TEACCH」「PECS」「応用行動分析」「感覚統合」「フロアタイム」など、さまざまな技法が併用されていました。必要に応じて柔軟で、排他的でないところも魅力です。

さまざまな事業にたずさわる職員がいる研修で学ぶのにふさわしい内容でした。今後も研修と実践を通じて、学びを深めていきたいと思います。

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