適応行動を測るということ

Libra

今日は「Vineland-Ⅱ」の検査日でした。

これだけ書いて、意味がわかる人は少ないかもしれません。

子どもの得意なことや苦手なことを正確に把握しなければ、支援や指導にはつながらないため、発達のアセスメント(評価)が必要だと言われます。そして、さまざまな検査が活用されており、このあたりの地域だと「新版K式発達検査2001」や「WISC-Ⅳ」などが有名でしょうか。

「Vineland-Ⅱ適応行動尺度」は、厚生労働省が発行する「放課後等デイサービスガイドライン」でも推奨されている検査なのですが、まだあまり知名度がないようです。もう少し知られてほしいので、その意義をまとめてみます。

発達検査の多くは、生活場面と異なる特別な環境の中で、用意された課題に取り組んでもらうものです。日常的な環境は大人の気づいていないところで子どもの能力を底上げすることもあれば、反対に実力を発揮させないこともあります。

例えば、Aくんは先生の話を理解できていないのに、周囲の子どもたちの行動をうまく真似られるせいで「言葉がわかっている」と誤解されるかもしれません。Bさんは、気を散らすものがなければ指示に合わせて動けるのに、子どもが多すぎる場所なのでうまくいっていないだけかもしれません。

だからこそ、子ども自身がもっている潜在的な力を測る必要があって、発達検査はとられます。

ただし、そのメリットの裏返しとして「生活の中で子どもがどのくらい困っているか」を直接示してくれるものではないというデメリットがあるわけです。専門機関から検査結果を数値だけで聞かされて、どう解釈してよいのかわからなかった保護者の方もきっといるでしょう(もちろん日常生活への示唆に富んだ丁寧な検査所見が返却されることもありますし、それが望ましいです)。

そこで「Vineland-Ⅱ適応行動尺度」が役立ちます。Vineland-Ⅱは保護者(や関係者)からの面接を通じて、子どもの適応(=実生活の中でどれだけうまくやれているのか)のレベルを明らかにできる検査です。発達障害と関わる業界では、いつのころからか「困り感」という言葉がよく使われるようになってきましたが、問題意識は近いかもしれません。

「障害」は医学的に有無が定められるものではなく、人と社会との関係の中にあると考える「社会モデル」の障害観とも相性がよいため、いわゆる「心理職」の人に限らず、「福祉職」にとっても扱いやすい検査であるように思います。「コミュニケーション」「日常生活スキル」「社会性」「運動」の4領域に分けられており、面接も子どもの日常についての自然な質問を通じて進められます。

今回は、放課後等デイサービスLibraに来ている子ども1名について、「発達相談室つばさ」の鍵山建さんが検査をとってくれました。鍵山さんは発達支援ルームこねっくでも力を貸してくださっている臨床心理士です。

検査には職員2名が同席しました。しっかり勉強して、これから自分たちでも検査がとれるようになっていきたいと思います。

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